食品製造工程において完成品への異物混入を防ぐことは、顧客の信頼を保つため、自社の利益を守るために欠かせません。
このページでは、異物混入対策について考えられる対策をまとめました。
目次
商品に異物が入っていないかを検知・検出
出荷前に異物が入っているか否かを確かめることで店頭に出回った後に異物が見つかり、全品を回収するという最悪の事態が防げます。
X線検査装置を導入
X線検査装置は、病院にあるレントゲンと同じ原理で、中のものを確認することができます。
金属をはじめ、骨や一部のプラスチック、硬質のゴムなど、X線を吸収して画像に写るものであれば全てを検知することができます。
X線検査装置には、製造工程内で検査をするインライン型の装置や、完成品を1つずつ検査をしていくタイプの装置があります。
X線検査装置だけでは検知できないものもありますが、口に入ると危険な硬い異物を検知することは容易であると言えます。
金属検出装置を導入
金属検出装置は、その名の通り食品に入っていると危険な金属を検出し、金属の混入を防ぐことができる装置です。
磁力に反応する金属であればすべての金属を検出できます。
金属検出装置には、製造工程内で検査を行うインライン型の機械をはじめ、持ち運べるハンディータイプのものなどがあります。
金属検出装置だけでは樹脂やゴムなどの異物は検知することができませんが、針や金属片、鉄粉などが混入した際に見つけ出すことができます。
画像検査装置を導入
画像検査装置は、商品の外観を確認し、異物がないか、通常とは違うところはないかを確認できる装置です。
外観を検査するため、商品の内側に入り込んだ異物を検知することは難しいのですが、外観上の異変があればそれを検知できます。
画像検査装置の多くは、インタイン型の機械で、食品製造工程にて多く使用されています。
異物が混入しないような生産設備を構築
異物混入の1つに生産設備の破損による混入リスクがあります。検知できれば良いという考え方ではなく、そもそも発生が起きにくい生産設備にする必要があります。
金属部品はすべてステンレスを使用する
異物混入には生産工程で使用されている設備や機械の部品の老朽化が原因となることがあります。
金属部品にスチールなどの錆びる素材を使用すると錆が商品に混入してしまい異物混入のリスクが高まります。
ステンレスにも種類がありSUS430は錆びるやすいため使用すべきでありませんが、SUS304以上の錆びにくいステンレスを使用することで錆による異物混入を防ぐことができます。
破損しにくい樹脂・プラスチックを使用する
樹脂・プラスチックは錆びないため食品製造工程の設備や機械の部品として使用しても問題ないと思われがちです。
しかしながら、樹脂・プラスチックは割れる等の破損が起きやすい素材であるため注意が必要です。
樹脂・プラスチックを使用する際には、破損が起きにくい強度が高い種類の材質を使用することで異物混入のリスクを低減することができます。
裂けにくいゴムを使用する
弾性素材であるゴムは樹脂・プラスチックのように割れることによる異物混入のリスクは少ないと言えます。
しかしながら、ゴムは1度亀裂が入るとそこから避けてしまう可能性があります。
そのため、避けにくい引き裂き強さ・引き裂き強度が高いゴムを使用する必要があります。
引き裂き強度・引き裂き強さが高いゴムを使用することでゴム部品の劣化による異物混入リスクを低減することができます。
混入が発生しても検知しやすい素材の部品を使用
いくら食品製造工程内の設備・機械の部品に壊れにくい素材を使用してもそのリスクはゼロにすることは難しいかと思います。
そのため、万が一の混入時にも検知が容易な素材を使用することで異物混入が起きたまま出荷してしまうような最悪の事態を防ぐことができます。
色付きの樹脂・プラスチックを使用する
樹脂・プラスチックは、材質や大きさによってはX線検査装置に反応しません。もちろん通常は金属検出機でも検知できません。
そのため、万が一の混入時にも目視でわかるような目立つ色や、商品と反対色の樹脂・プラスチックを使用することで検知が容易になります。
最近では高強度で色付き、食品衛生法認可という樹脂・プラスチックもあるため、積極的に使用することをおすすめします。
色付きのゴムを使用する
ゴムも樹脂・プラスチックと同じようにX線検査装置や金属検出装置では検知が難しい素材です。
通常のゴムは黒や白っぽい色合いであることが多いため目視で検出することも難しくなります。
最近では、金属探知機に反応するゴムや多彩な色がついたゴムもあるため、そのような特殊な食品製造工程に適したゴムを使用することで検知しやすい異物混入リスクを低減できる工場となります。
※木野機工株式会社では「色付きシリコンゴム」を製造・販売しております。一度ご確認ください。
金属検出器に反応するゴムを使用する
ゴムには、特殊な配合により金属検出装置に反応する素材があります。
磁気をおびていたり、金属が配合されていたりする素材を使用することで、もしもの混入時も金属検出装置を導入していることで商品への異物混入を防ぐことができます。
※木野機工株式会社では「金属検出器に反応するシリコンゴム」を製造・販売しております。一度ご確認ください。
メンテナンス・清掃用具も気を付ける
注意が不足しがちなメンテナンス・清掃時ですが、そのような場合も気を付ける必要があります。
掃除用具によくある刷毛やブラシですが、毛の部分が抜け落ちてしまい、稼働後にいつの間にか商品に混入してしまうケースもあります。
色付きの清掃用具を使用する
清掃用具には、食品製造工程用の色付きブラシやたわし等があります。
小さいことかもしれませんが、毛が混入してしまった際も色付きの用具を使用すれば検知がしやすくなります。
清掃する場所によって色分けすれば、衛生的にも効果が得られるかと思います。
金属検出器に反応する清掃用具を使用する
色付きブラシと同じように、金属検出器で検出可能なブラシもあります。
商品との反対色の清掃用具がない場合などは、このような用具を使用することで異物混入のリスクを低減することができます。
異物を持ち込ませない工場にする
いくら壊れにくい素材を製造工程内の設備や機械に使用しても、誰かが意図的に異物を持ち込み、混入させていては意味がありません。
異物を持ち込ませない工場にすることも重要な異物混入対策となります。
セキュリティーを強化する
製造現場に誰でも容易に入れるようでは異物を持ち込まれるリスクが高まります。それは出入り業者も同様です。
製造現場へ入る際はIDチェックを行うことや出入り口をオートロック式にすることで誰でも容易に入れない仕組みを造ることが可能です。
製造現場に入れる人の数を制限する
そもそも人の出入りがある製造現場には出入り業者はもちろん、内部の社員による多少のリスクが生じます。
出入りをする人が多ければ多いほどそのリスクが高くなってしまうため、人数事態を減らすことが異物混入のリスク低減に繋がります。
例えば、生産工程をすべて自動化することで生産現場に出入りする人数を最小限にとどめることができます。
自動化には費用もかかるため、よく検討する必要がありますが、異物を外部から持ち込ませないようにするには有効な手段だと言えます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
持ち込ませない。発生させない。すぐに見つける。この3つを徹底することで異物の混入リスクを最小限に抑えることができます
まずは現状の生産現場の状況を確認して、少しずつでも着実に改善してはいかがでしょうか。