シリコンゴムは、添加物を配合することで様々な特性を付与することが可能です。
このページでは、特殊な用途向けに+αの特性を付与したシリコンゴムの種類について解説します。
目次
汎用シリコンゴム
汎用シリコンゴムには、耐油性、耐溶剤性・耐薬品性、耐熱性・耐寒性、耐候性・耐オゾン性、透明性・着色性、耐水性・耐スチーム性、非粘着性・離型着性、熱伝導性、電気絶縁性など、様々な優れた特性を持つゴム素材です。
汎用シリコンゴムの詳しい特性については「▼汎用シリコンゴムの特性」をご覧ください。
+αの特性を持つシリコンゴムの種類
熱伝導性シリコンゴム
汎用シリコンゴムは、約0.2W/m・Kと、もともと優れた熱伝導率を持っています。
熱伝導性シリコンゴムは、無機質充填剤を多く配合すること熱伝導率を高めたシリコンゴムで、中には1W/m・K以上の熱伝導率を持つシリコンゴムもあります。
導電性シリコンゴム
汎用シリコンゴムは、1~100TΩ・mと電気絶縁性に優れるためほとんど導電しません。
導電性シリコンゴムは、カーボンブラックを配合することで導電特性が付与されたシリコンゴムです。
カーボンが配合されても他の特性は通常のシリコンゴムとほとんど変わりません。
難燃性シリコンゴム
汎用シリコンゴムは、燃えにくい素材ではありますが、着火すると燃え続けてしまいます。
難燃性シリコンゴムは、難燃剤を配合することで難燃性や自己消炎性を付与したシリコンゴムです。
防振性シリコンゴム
汎用シリコンゴムは、損失係数が小さく、防振用途には適していません。
防振性シリコンゴムは、添加物を加えることで損失係数を高くし、防振性能を付与したシリコンゴムです。
温度変化に強く、耐熱性や耐寒性に優れているため、マフラーハンガーやダイナミックダンパー、エンジンマウントなど、自動車向けの防振部品やエンジン部品に使用されています。
色合いが違うシリコンゴムの種類
高透明シリコンゴム
汎用シリコンゴムは、半透明・ナチュラル色の外観であることが一般的です。
高透明シリコンゴムは、微細なシリカを配合して製造することで、透明性に優れた特性を付与したシリコンゴムです。
色付きシリコンゴム
色付きシリコンゴムは、添加物を加えることで色を付けたシリコンゴムです。
汎用シリコンゴムは、半透明・ナチュラル色の外観であることが一般的です。
シリコンゴムはもともと着色性に優れているため、着色料を加えることで様々な色を付けることができます。
また、微細なシリカを配合した高透明のシリコンゴムに着色すると鮮やかな色のシリコンゴムが完成します。
特殊な特性を持つシリコンゴムの種類
磁気付きシリコンゴム
磁気付きシリコンゴムは、磁気に反応するシリコンゴムです。
磁石や金属探知機に反応します。
高引裂きシリコンゴム
汎用シリコンゴムは、引裂き強さが10~15KN/mと天然ゴムに比べて劣っていました。
高引裂きシリコンゴムは、引裂き強さを強化したシリコンゴムで、30KN/m以上と汎用シリコンゴムに比べて2倍以上の引裂き強さを持つシリコンゴムもあります。
USシリコンゴム(超高引裂きシリコンゴム)
高引裂きシリコンゴムをさらに強化した、超高引裂きタイプのシリコンゴムです。
引裂き強さが95KN/mと汎用シリコンゴムに比べて10倍近くの引裂き強さを持ちます。
硬度が異なるシリコンゴムの種類
低硬度シリコンゴム
汎用シリコンゴムは、硬度が40°~60°であることが一般的です。
低硬度シリコンゴムは、硬度が2°、5°、8°と極端に低硬度で柔らかいシリコンゴムです。
高硬度シリコンゴム
汎用シリコンゴムは、硬度が40°~60°であることが一般的です。
高硬度シリコンゴムは、硬度が90°近くあり、極端に硬いシリコンゴムです。
食品衛生法とシリコンゴム
食品衛生法適合のシリコンゴム
汎用シリコンゴムは、鉛・カドミウムの含有量やホルムアルデヒド・亜鉛の量が食品衛生法の基準内であることが多く、食品衛生法に適合している場合がほとんどです。
添加物などを加え、特殊な性能を付与している特殊シリコンゴムは、食品衛生法に適合していない可能性が高くあります。
しかしながら、食品衛生法適合の特殊シリコンゴムは、食品衛生法に適合した添加物を付与することで、食品衛生法にも適合させることが可能です。
シリコンゴムと食品衛生法の関係性については「シリコンゴムと食品衛生法」を参考にしてください。
※木野機工株式会社の食品衛生法に適合した特殊シリコンゴムはこちら
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